洋服地が織り上がりました!
織ってる途中から機械の調子が悪かったり、まっ黒というのもあり(←染料の違いから?糸の色によって仕上がりや織りやすさが違うんだそう by師匠)いつもは機械を動かしながら他の作業をしていたりする師匠も、珍しくこの子にかかりっきりです。

最後の仕上げは検反。織り上がった反物に、織りキズが無いか確認していく作業です。もちろん機械では出来ないので、自分の目で見てたしかめます。そして直せるところはお直しするのです。



お直し作業まっ最中の師匠。頭のゴーグル、拡大メガネがついていてものすごーく!!良く見えるんですよ〜。ちなみに師匠は拡大ゴーグルと老眼鏡のダブル使いです(汗)



こちらがキズ。っても見えませんね…



白いシールの下にキズがあるのですが、見えますか…?
経糸の間を通っているはずの横糸が、一部分だけ抜け出してしまって浮いてます。このまま放っておくと目立ちますし、引っかけたりすれば大変なことになるかも〜!
お直し可能な類のキズなので、地道にお直しするのですっ



まず浮いてる部分の横糸を切っちゃいます。細い糸が結構ぎっしり並んでいますので、1,2本糸を切っても切れたところからほつれたりすることはないのですが…
上、下、上、下と規則正しく並んでいるはずの横糸を一本切ると、どうしてもそこだけ上、上や下、下というように2本同じとこを通ってる横糸が揃ってしまいます。(分かりにくいですが、目打ちの先)これ、微妙に目立つ!



なのでさらにそのうちの一本だけを切って、引き抜きます。あとは糸2本分の空きを周りの糸を寄せてやることでカバーしたら…お直し完了!この後縮みの加工に出しますので、生地がもみもみされて切っちゃったところにも糸が均等に寄るので、使用には差し支えありません♪

…って、書くと簡単なんですが、大体キズの全長が1cm程度。糸は髪の毛くらいの太さですので、そこから糸を一本拾って…という作業は良く見えーる拡大ゴーグルを見ながらでもかなりきっつい(笑)私もお手伝いしてましたが、午前中かかって5か所くらいしか直せませんでした…長さにして2mそこそこ(汗)でもそんだけやるともう、目がちかちか〜!!
この後師匠が地道に数日かけて50mをお直ししました…うわあ…


麻は木綿や絹のように素材に伸縮性がありません。織り上がれば丈夫ですが細い麻糸は引っ張ったらぷちんと簡単に切れてしまいます。新之助商店でも、機械織りとはいえ機械が続けて動くのは長くて30分。何度も切れる糸をつなぎつなぎしながら織っていくのです。やはり糸が切れ易い分、キズが出来る確率も高いそうです。
穴があいちゃったりしてもうどうしようもないキズも中にはありますが…お直しできるところはお直しして、最大限の生地を使えるようにしていきますっ。


それにしても…織り物って、ほんとにげんなりするような(笑)単純な作業の繰り返しです!師匠が良く「うちのは別に特別な技術やない、他にやるやつがおらんだけ」って良く言うてますが…まあやっぱり型紙捺染で織る絵絣の近江上布とか、師匠にしかできない事もたくさんあるんですけど…こんな地道な作業をわははと言いながらやれるのが、新之助商店の一番の技術なのかも!?
毎日色々な事が起こる工房です。
めったに起きない(起きちゃ困る)事なのですが、時には機械織りの織り機が壊れてしまうことも…

先日から注文を受けて機織りしていた広幅の生地が、なかなか織り進まなかったのです。織り機を点検すると、どうやら機織りの部品の一部が傷付いているようで…部品のキズが原因で切れやすい麻の糸がさらに切れやすくなっていたみたいです。
「ここんとこどうも妙な音がすると思って油さしたりしてたんやけどな〜」と師匠。私の耳にはガシャガシャ、いつも通りの賑やかな音にしか聞こえませんでしたが…?ガッシャガッシャと単調で同じように聞こえる機械の音でも、ずうっと聞き続けることで些細な機械の変調の音が、聞き取れるようになるんですね…



部品交換中の師匠(ほんとはあまりお勧めできない方法だそう(汗)
このレピア織機はもう25年程?動いているとか…今新しく買うことはもう出来ないんだそうです。



そうそう頻繁に故障するものでもないので、たまにしか開かない取扱説明書。こちらも年季が入ってます!



取扱説明書と記憶を頼りに、機械を調整する師匠。今回は横糸を通す部分の部品を交換しました。入れ替えた部品の位置をミリ単位で調整です!


今回交換した部品を見せてもらいました。
何かで引っかけたのかな?交換した部品には、(爪の先の部分)小さなキズが付いていました…この部分が経糸を引っかけて、糸が切れやすくなっていたみたいです。

今はもう作られていない機械ですので交換部品もそうそう手に入りません。このキズのついた部品も、修理に出してまた使います。大事に使って、まだまだ末長く織ってもらわなくてはね。がんばれレピア君!
ふだん着着物の足元、皆様はどんなアイテムを使ってらっしゃいますか?

店長は普通の木綿の足袋も、冬の別珍の足袋も、ちょっと色がついた色足袋を使っています。以前は安価な足袋ソックスをよく使っていましたが草履下駄の素材によると滑りやすかったり、何か爪の先からびみょ〜に薄くなってきたりして、やっぱ草履下駄に合わせるなら足袋が好きだなーと再確認した次第です。でも白足袋だと汚れも気になるし、カジュアル着物に合わせてると足袋の白だけ目が痛いほど!だったりして、どうも居心地が悪く…なかなか見ない色足袋ですが、やっと見つけたものを愛用しています。


さて夏の足袋。レースのソックス状のものなどもありますが、やはりあこがれは麻の足袋!しっかししかし、麻の足袋って見かけるのは真っ白か、薄い色の無地ばかり…色つき柄付きって見たことがありませんでした。今回新之助上布で作った麻の足袋は、カジュアル着物にぴったりの、がっつり色柄付きの麻足袋です!

まずはご覧くださいませ〜♪



麻ちぢみ柄足袋【23,0cm】
麻ちぢみ柄足袋【24,0cm】
新之助上布では同じ柄の生地を量産することが少ないため、今回の足袋もサイズごとに色柄が異なっています。こちらは23cm、24cmの方用の本麻足袋。遠目に無地っぽい赤紫色です♪


麻ちぢみ柄足袋【25,0cm】
麻ちぢみ柄足袋【26,0cm】
こちらは25cm、26cmの方に。インパクトのあるラインが入って、男性にも格好良く履いて頂けそうです!


麻ちぢみ柄足袋【23,5cm】
こちらは23,5cmの方の本麻足袋。サイズはがんばって23cm〜26cmまで、0,5cm刻みで作っちゃいました!今ご紹介した柄の他にも、サイズごとに柄の違う本麻、綿麻と二種類ずつをご用意していますよ〜


どうでしょう、こんな麻足袋見たこと無い!な、楽しい楽しい柄足袋になったと思っておりますっ。
師匠は以前からこの柄の麻足袋を考えていたみたいです。でも薄い麻生地を使った足袋の縫製は、通常より難しいらしく、工房から近い京都、滋賀のエリアではお願いできる足袋の縫製屋さんが見つからず…しかし今回、以前新之助上布の生地でステキなサマードレスなどの洋服を企画・制作して下さった「鈍色舎」さんと協力することで関東の足袋の縫製屋さんにお願いできることになり、柄の麻足袋、実現と相成りました♪



履くとこんな感じです。
しなやかな薄手の麻生地ですので、足にもしっとり馴染みます♪本麻、綿麻ともに裏地は本麻生地ですので、通常の木綿の足袋よりも薄くて軽いです!

夏の足元、素足に下駄を履くのもスキっ!としていてこの季節ならではの楽しみですが…じりじり暑い日差しにさらされたり、はたまたクーラーの効いた室内で冷えてしまったり…現代の夏は、素足にとってはなかなか過酷な環境かも!?そんな時は天然素材の麻足袋で、涼しく守ってあげて下さいね♪もちろん、柄足袋でお洒落も決めちゃってくださいませ!



麻の柄足袋は本麻が¥4700(税込¥4935)、綿麻は¥4500(税込¥4725)です。
サイズごとの色柄、商品の詳細など詳しくはウェブショップの麻ちぢみ柄足袋カテゴリをご覧くださいね!
新之助上布は麻の織物。もちろん原料は麻なのです。
近江上布の事をもっと良く知りたいな!と店長いろいろお勉強中…。原料の麻については、「麻のはなし」カテゴリで色々記録して行こうと思っています♪


さてさて、麻とひとくちにいっても、種類が色々…最近洋服や小物で良くつかわれるのはリネン(亜麻)。現在新之助上布に使われているのはラミー(苧麻)です。近江上布はその昔はヘンプ(大麻←おおあさって読みますよ〜)を使っていたそうです。でも近代になって、大麻の栽培が規制されるようになったので、原料は大麻から苧麻に変わったんだとか…大麻は今も、勝手に育てちゃいけない植物です。時々ニュースでも、タイマ取り締まりってニュースになってますもんね。
今は大麻っていうと麻薬!ってちょっと怖いイメージですけれど、昔むかしは工房のある集落でも大麻を育てていたそうです。大麻って織物の原料になるだけではなく、実が食べられたり(今でも麻の実って七味トウガラシの中に入ってるんですって!)結構お役立ちだったみたい。吉祥柄に麻の葉文様というのもありますが、あれは麻の葉をかたどったもの。すくすく育つ麻にあやかって、健康に育ちますように♪な願いが込められた模様なんだそうですよ。
そんなこんなで、大麻って身近な植物だったみたいです。


現在新之助上布で使う糸の原料は苧麻。原材料は中国産です。紡績(新之助上布の糸は機械紡績です)は広島でお願いしていて、染めから先は地元滋賀県です。原料から国産にできれば理想的だと思うのですが…国内で産業として麻を生産しているところは皆無だそうです。
もちろん国内の麻の生産がまったく無いわけではなくて、文化財指定を受けている宮古上布や越後上布などは、麻の栽培から糸作りと、地元や近隣の地域でされているそうです。新之助上布も、近江上布の昔からの生産方法に忠実であろうとすると国内産の原料を使ったり、大麻の手績み糸(手で紡織した糸)を使うべき、ということになるのですが、それをやるとおいそれと手の届かない値段になってしまう…本来の形を出来るだけ残しつつ、ふだん着の麻織物として、お商売が成り立つ値段に持っていくギリギリの綱渡りです。


織物って、織る工程ばかりに目がいっていましたが、実際は原料の調達から糸作り、先染めの織物ならまず糸を染める工程があって…織るのにも実際織り始めるまでに糸の準備をしたり、織り機に糸をセットしたり、たくさんの工程があって、もちろん色んな人の手がかかります。単純に織り屋さん一件では成立しないのが織物ってやつみたいです。
日本には色んなところにその土地特有の織物がありますが、○○織り、の織りそのもの意外に、原材料は、糸作りや絣付け、生地の加工といった織り以外の作業は…と、そう考えると、一つの織物が残っていくというのはなかなか、大変なことなのだなあと思います。


何だか麻の話からちょっとそれてしまいましたが!
そんなわけ(?)で新之助上布の原料の麻、使っているのは中国製ながら…


今も近くの土手にはほら!


苧麻が自生しているんです。

麻が育つのは暖かい季節。芽が出るのは5月です。ちょうど袷を脱ぎたくなるような気温になったあたりかな…?何にも無かった土手に、↑こんな感じで、ひょこひょこっと生えてきます。
そして頭が出るとそこからは早い早い!ちょっと数日見ない間に、数十センチな勢いでどんどん伸びて行くのです〜〜



おっ、出てきたなあと思ってから一ヵ月ほど。もう踏み込めないほどこんもりと茂りました…(汗)


師匠が家の畑の端っこに植えた苧麻。一ヵ月そこそこで娘より大きくなっちゃってます。これ、地下茎で増えていくらしくてじわじわ畑を浸食中…!
ほんと、たくましい成長っぷりです。あやかりたくなる訳だあ〜


あんまり育ち過ぎると茎が堅くなっていい繊維(=糸の原料)がとれなくなりますので、そこそこ育ったところで刈り取ります。滋賀はあまり暖かくないですので麻が収穫できるのは夏の間だけ。それでも2回は刈れます。
一回目の刈り取りは6月の展示会前にあわただしく済んでしまいましたが、次は8月に刈る予定!刈り取った麻は、繊維を取り出します。これで手績みの糸を作って、メイドイン・滋賀の近江上布を作るのが、師匠の野望なんだそうです。

刈り取りと繊維の取り出し(苧引き)の様子も記録出来たら、またご報告したいと思います♪