新之助上布は先染めの生地です。

ってどういうこっちゃ?という話なのですが…
生地に色や柄を付けるのに、まずは白い生地を織って、後から柄を染めるのが、”後染め”です。染め方はいろいろあって、生地に絵を描いたり、型紙を使ったり絞ったり…。店長あまり詳しくないので細かい技法までは書けませんが(汗)とにかく白い生地を染めて柄を出す、これが後染めなのです(で、合ってると思うんですが!?)。

で、先染めは?というと…織る前の糸の時点で、あらかじめ色を染めてしまうのです。先に染めとくから、”先染め”というわけ…生地の柄は、色糸の配置や織り方で出していきます。



こちらは手織りの絵絣近江上布。

直線的な縞や格子以外にも、一本の糸を染めわけることで、複雑な柄も織りだす事が出来ます。これが、”絣”です。今回は詳しく書きませんが、特に新之助上布の絣は絵絣なので、後から描いたような絵柄になるのが特徴です♪

と、言いつつも新之助商店の機械織りでは↑のような複雑な絵絣は織れません。基本的に平織り(縦糸と横糸を交互に交差させるシンプルな生地です!)ですので、織れるデザインは無地か、縞か、格子となってきます。後染めなら水玉とか、花柄とか自由に柄が付けられるのに…そう考えるとデザイン的には制約が多いですっ。


…でもでも、先染めの生地でしか出せない楽しい風合いもあるんです〜!

それが、シャンブレー(玉虫)♪

この生地、玉虫のように色が変わって見えませんか?…経糸と横糸に全く違う色の糸を使うことで、このような風合いが生まれます。



この生地は特に玉虫が強く出ていて、角度によって青く見えたり、茶色っぽく見えたり…

店長、(今も全然ですが)ショップを始めた時は織物の事は全然分かりませんでしたので、最初この玉虫生地を見た時は何でこんな不思議な見え方をするんだろう?とハテナがいっぱいでした!

先染めの織物は糸自体が染まっていますので、経糸と横糸が違う色の場合でも、パレットで混ぜ合わせたような色にはならないのです。なので角度によって経糸の色が強く見えたり、横糸の色が強く見えたりして、玉虫効果が生まれるというわけ。きっちり染めたような色を表現するのなら、縦糸と横糸の色を同じトーンで合わせればよいのですが、新之助上布の機械織りは三反同時織り。横糸と経糸の色が違ってしまう事の方が多いというわけで…



ならば思い切って、シャンブレーを楽しんじゃおう!と、新之助上布の生地は大体が玉虫色だったり、霜降りっぽかったり…と大なり小なりシャンブレーがかかっているのです。
角度で色が違ったり、他にも「○○色!」と表現できないニュアンスカラーになっているものも多く、ウェブショップは写真がイノチ!なのになかなか撮りづらかったりするのですが…(汗)


でもこれは先染めでしか出せない風合いですし、何より麻の素材感とシャンブレーは、相性がいいみたい!シンプルな無地や何気ない縞や格子が、麻のツヤ感とシャンブレー効果でぐっと深みのある風合いになってくれるのです♪店長こっそり、これを”シャンブレーマジック”と呼んでいるのです、ふふふ…
なかなかウェブショップの写真だけでは表現しきれない風合いですが、新之助上布を手に取って頂ける機会がありましたら、シャンブレーマジックにもご注目くださいね!
大西新之助商店には、現在ウェブショップでご紹介中の機械織りの”新之助上布”の他にも、色んな商品があるのです、ふふふ…

近々ショップでご紹介しようと思っているのが、こちら!


手織りの絵絣近江上布着尺です♪
大西新之助商店は近江上布の織り元ですから、むしろこちらが本命と言っていいのかも…


起源をたどっていくと鎌倉時代くらいにまでさかのぼれるという近江の麻織物。近江上布は、伝統的工芸品の指定を受けています。

というわけで新之助商店の手織り着尺にも、伝統的工芸品に指定された事を表す伝統マークが貼られています。

伝統的工芸品として指定されるためには、いくつかの条件があり…ざっくりまとめるとこんな感じです。
・先染めの平織りとする
・絣織りで、絣は横糸か、横糸と経糸両方に使う
・絣糸の染色方法には、羽根定規を用いて、”櫛押なせん”または”型紙なせん”とする
・織る際には絣と耳印を手作業で合わせながら模様を織りだす
・シボを付ける際には、手もみで行う
*近江上布には絣織りの他にも”生平(きびら)”もあるのですが、これはもう現在はほとんど(というか全く?)生産されていないので割愛していますっ

耳印とは、反物の耳の部分をちょっとだけ染めて、織る時の目印にするもの。一番上の反物の写真でも、白い反物なのに巻いた端の部分がピンクっぽいものがあるのがお分かりでしょうか?反物の端にだけピンクの耳印がついているのです。耳印の色は、織る色柄によって使い分けています。


これは蝙蝠の柄。

新之助商店の手織り近江上布は、「型紙捺染(かたがみなせん)」という技法で柄が付けられています。現在手織りの近江上布を生産している織り屋さんは二軒。もう一件の織り屋さんでは”櫛押なせん”という技法で、複雑な幾何学っぽい絣柄を織ってらっしゃいます。



逆に言えば、このように絵にかいたような絵絣が織れるのはもう新之助商店一件のみと言う事みたいです…



どうなっているんだろう、この水彩画みたいな絵絣!


麻着物は夏のカジュアルウェア。若い世代の方にも気軽に手に取ってもらいたいから…新之助上布の機械織りの着尺は、そんな思いで色柄も、お値段もカジュアル。でもいつか、こんな手織りの近江上布も、手に取って頂けたらなあ〜(私も、着てみた〜い!)と思っているのです。絣の柄もそうですが、触った感じも手織りのほうがふんわりとしていて軽いですよ!糸に付けている糊も違うんですって〜。

手織りの近江上布のお値段は30万くらい(!)しますのでそうそう買ってくださーい♪とも言えないんですけれども…とにかくこのステキな絵絣、たくさんの方に見て頂きたいなあと言う訳で、ただいまショップに掲載するための準備中なのです。絵絣の技を、じっくりご覧になって下さいませ〜!
毎日暑いですね!工房に行くと汗でべったべたになる店長です。
つれて行っている娘をたらいに入れて水浴びさせるのですが…私も行水したいくらい!

それでも着々と反物の生産が進んでいる工房…
ただいま師匠がばりばり綿麻や本麻の着尺を織っていますよ〜!来季に向けての着尺の準備が主なのですが、好評頂いています綿麻の兵児帯の新バージョンを作るべく、兵児帯用に色柄を作って織ってもらったり、ふふふ…これは秋頃ご紹介できると思いますので、お楽しみに!


ともあれ、工房に行くたび機には違う柄の経糸が乗っていて、今度はどんな柄かな〜?と見学するのが秘かに楽しみなのです♪


先日はちょうど経糸が機にセットされた時に居合わせたので、師匠が横糸を決めるのを口を出しつつ(笑)見学。その時の写真を撮りのがしちゃったので、横糸決めのために試し織りした生地を撮ってみました。カラフル!

新之助上布は先染めの糸を使った織りの布地です。染めの布なら、画用紙に画材で絵を書くように、白い生地を自由に染めることができるのですが、織りの場合はそうはいきません。
色柄のデザインは糸の配置で決まります。何色の糸を、何本縦に使うのか、そしてその経糸に、何色の糸を何本横にうつのか…これで格子や縞が織りだされるのです。



経糸(たていと)はこんな風に「縞割り図」という設計図みたいなものを最初に書いて、整経屋さん(丸巻き?状態の糸を、織り機にかけられる状態にしてくれるところです!)で準備をしてもらいます。

●色の糸が何本あって、その隣に△色の糸が何本きて…とデザインするのですが、経糸の本数は例えば本麻の着尺地一反分だと1078本。もちろんそれだけの糸を実際並べてみる訳にはいきません(汗)
脳内イメージを頼りに、こんな感じになるかな〜?と思いながらデザインするので、整経が終わってみるまでは師匠にもどうなるか分からないそうで…整経屋さんから戻ってきた経糸を機にかけるのはドキドキ!
そうやって経糸が決まってからも、横糸に何を入れるかでまた生地の色柄はがらっと変わってきます。経糸を変更することはできませんが、上のサンプル生地のように織り始める前に何色か横糸を変えて試し織りをして、経糸の柄に合うベストな横糸を選んでいくのです。


しかしここで難しいのは、今生産している新之助上布は「3反を同時に織る」ということ…


このレピア織機という機では3反分の経糸を横に並べて織るのですが、上の写真のように、並んだ3反の経糸は、それぞれ違う柄なのです。同じ柄だったら、3反、6反、9反…と、同じものが出来ちゃいます。同じものを大量生産したい場合はそれでもいいのですが、消費者さんに直販している新之助上布は、できるだけコストを抑えつつ、種類を豊富に生産しなくてはなりませんので、3反別の柄の経糸を配置することになります。



同じ横糸が入っても、柄が破たんしないような3柄分の経糸の配置。
3柄の雰囲気を変えつつ、経糸の柄を生かせる横糸の選択。
レピア織機で織る場合は、コストの関係で横3反×縦3反の9反を最小のロットとしています。一つの柄を考えるときには、この9反を同時にイメージしていないといけません。

こんな柄の生地が欲しいな〜〜♪と思っても、こっちが立てばあっちが立たず…うーん!となっちゃったり、いざ機にかけてみればこんな柄のはずじゃ〜!!みたいなことも…経験豊富な師匠でさえ、出たとこ勝負のモノづくり。


私はまだまだ経験不足なので、こんな新之助上布欲しいな♪と思っても柄組みになるとムツカシイ〜と頭を抱えてばかりなのですが…「手間かかるけど、面白いやん」とにやりと笑う師匠なのでした。確かに!
今日もまた織り機からは楽しい新柄が、ぞくぞく織りだされています♪

工房に出勤したら、事務所の座布団が夏モードになってました。
冬用の座布団はフツーの綿の生地だったのですが…夏用の座布団は、なんと手織りの近江上布座布団地!座っちゃうのがもったいない!

結構使い込まれてるらしくところどころ擦り切れてたりするんですが…いやでもでも、すっごいステキな絵絣だわっと、思わずウットリしてしまいました!…と、一人で堪能するのもアレなので、ショップブログでも紹介しようと写真をぱちぱち。



まずは幾何学模様っぽい柄。


ぱっと見絵の具か何かで描いてるみたいな感じですが、これも絣で模様が織りだされているんです…。うわあ〜。地味にすごいっ。


こちらは草木の柄。あらモダン!
ちなみにちょっと映り込んでいるのは師匠の頭@昼寝中。


細かいな〜〜。
近江上布の絵絣は型紙捺染と言う方法で絣づけをするのです。色の分だけ型紙を作って色を付けて行くのですが、その時点では何だか版画みたいな感じです。でも織ると絣がずれるから…こんな水彩画みたいな感じになるのかしら?
型紙捺染の工程など詳しくはこちらの本家(?)新之助上布HPでどうぞっ


そして私のドンズバはこちら。

きゃーステキ!


今新之助商店で織る手織り着尺は横がすりなのですが、この座布団地に関しては縦横両方に絣が入っているみたいです。まるで手描きしたみたいなバラの花です。うへー。ちなみに青い糸に染めているんではなくて、背景部分用の型紙で背景の青を染めているんだそう。だからこんなうきあがった感じに見えるんだな…


ちなみに私の名刺入れも手織りの絵絣上布なのです。

うふふ。着物地はまだ無理だけど…お気に入りですっ。


そうそう、ウェブショップの店長なんて名刺要るの?と思ってたんですが…意外とお名刺を頂く機会が多くて(汗)最近お名刺作りました。裏はショップカードになってます♪


手の込んだもの、高い技術のものも、作られなければ続きません…もちろん、買って下さる方が無ければモノは作られません。ウェブショップで扱っている主力の商品は機械織りの新之助上布。でも手織りの近江上布もとってもステキです。今近江上布の絵絣を織れる伝統工芸士はうちの師匠だけだそうですが…この技を絶やすのはあまりにもったいない!と思うのです。
そのためには、もっともっとたくさんの方に新之助上布を知って頂かないと…そして、もーっともっとたくさんの方に、気軽に着物を手に取って頂けるように働きかけていかないとなのですっ。何か目標が大きすぎてくらくらしそうですが、たくさんの方が着物に親しむようになって、手織りの近江上布にもいっぱい注文が来るように…店長も地道にがんばるしかないなーと思うのでした。