実はただいま、絶賛片付け中の工房です。
と、年末だからってことでもなく、あまりにごっちゃりした工房内、あれどこいった〜、これいどこいった〜事件が多発しておりまして…(汗)

先日工房に来たコンサルさんも、「5Sって知ってますか…」と絶句されておりました。たはは…(5S=整理、整頓、清掃、清潔、しつけ…だそうですよっ)
もちろん全然掃除してませんとか、不潔っ!とかそういうことはないのですが(仕事場周辺はちゃんと掃除していますっ)何せ貯め込んである糸の量が大変多く、まさに「ごっちゃごちゃ」なのであります…(汗)
新之助商店は先染めの織り屋なため、色んな色の糸が無いと織ることができません。糸の在庫が多いのはどうしようもない部分なんですが、せめてどんな糸がどこにどれくらいあるか、整理整頓はしなくっちゃ!


目指せピッカピカの工房!というわけで、

綿ぼこり(これも織り屋の宿命か…?)を払いのけながら、お片づけ。

しかし何ってもうとにかく、工房中糸、糸、糸〜〜!糸ばっかり!!

ちょろっとしか残っていないような糸でも、新之助上布のような多種柄、少量生産の織り物なら案外使えたりするので、侮れません…結局あれも残す、これも念のため…と減らない糸たち(汗)あれ、ただ箱をどけてほこりを除去しているだけのような…!?


しかししかし、モノはどけてみるもんです!
糸の合間からひょっこり昔の生地が出てきたりします。

わーい!ちょっと宝探し気分♪

手織りの絵絣や無地や…そこここから色々と出てきます。
それらを手に取りながら「あれ…何だか柔らかいなあ」と思っていました。


そして見つけた古びた箱。中には白生地の反物が入っていました。ずいぶん前のものらしく、反物を包んでいた紙は劣化してしまったのか持ち上げるだけでばらばらと崩れ落ちてしまいます…でも中の反物は真っ白できれいです。手触りはとろんと柔らかく、触り心地も頬を埋めたくなるようなつっべつべさ!
一瞬何の生地か分かりませんでした。綿?絹?いやでもここ…麻の織り屋よね!?

何この生地ー!?と早速師匠のところへ!


「絹麻やなあ」


ん?絹が入ってるの…?
と、それは勘違い(笑)麻100%なのですが、絹のような麻で絹麻、というんですって。
昔の麻糸の最高級品は、それはそれは滑らかな糸だったそうで…何と糸の節を手作業で取り除いてくれていたとか!さらに原草を見分ける職人さんがちゃんといたことで、良い繊維が含まれる麻だけを使って紡績できるため品質も今よりずっと良かったそうです。

今でも新之助商店で使う麻糸は、国内紡績の一番良いランクのものではあるのですが…今ではそんな麻を見分ける職人さんは居なくなってしまったそうで、同じ番手(糸の細さ)を紡績することは出来ても、昔のような品質は期待できないんだそうです。だから他の生地も心なしか滑らかだったのかも〜(加工が違うというのもあるみたいですが)
確かに店長、麻糸の節はデフォルトだと思っていました…(汗)

そんな最高級の糸を使った絹麻の生地。本当につべっつべで気持イイですっ。上布の中の最高級品ですから、仮に当時に生まれ落ちていても庶民な店長にはご縁の無かっただろう生地ではありますが(笑)ああ〜、このつべつべ生地に触れただけでも掃除始めた甲斐があった〜〜!


と感動する一方で、この生地はもう織られることがないのか…と思うと寂しさもいっぱい…コストを抑えること、効率を良くすることが正義な感じの現代で、昔のような手をかけ時間をかけ、な仕事は時代にそぐわないのだろうなあとは思うのですが…
織る技術だけが残っても、糸が、染めが、加工が、残らなければやはり意味がないのだなあと痛感します。織り物って織るところのイメージが強すぎて、他の部分には目が行きとどきにくいけれど…最近ほんとうに、「織り物は一本の木のようだな」と思うのです。幹だけ残っても、根が、枝が、葉が残らなければその木はいつか枯れてしまう。

日本の伝統技術!スバラシイ技!!なんて言っている間に、枝葉がばっさばっさ切り落とされているような気がします…うぅっ。


近江上布も、いつまで「近江上布」で居られるのかな。
そんなことを考えるとちょっと不安になりますが…いやいやっ、日々のお仕事をがむばらなくては!石のように変わらないものを守っていく、ではなくて、木のように日々変化していくものを繋いでいく…それもまた、伝統なのかな?と思ったりもするのですっ。枯れちゃ駄目ですけど(笑)
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